スポンサーリンク

オリンピックのセーリング競技はなんで盛り上がらないのか

東京オリンピック終了

8月8日にオリンピックが終わり、24日からパラリンピックが始まります。
が、
パラリンピックにセーリング競技は無くなったので、日本のセーリング界としては「東京2020」はこれで終了。

なんですが、
実をいうと、あまり見てないんですよね。オリンピックもパラリンピックも。
日本にいなかったことも多くて。海外にいると日本人選手中心の実況中継のわけもなく。おまけに英語だし。
本業であるセーリング競技ならいざしらず、良く知らない競技を興味深く視聴するのは無理。
今回は日本にいて日本開催なので、かなり見た方です。

ま、日本に帰ってからも、テレビがないもんで。
ネットでも配信はしているものの国際映像のようで、おまけに実況解説もほとんどが英語なんで。結局、海外にいるのと同って感じでしたが。

オリンピックは残酷だ

それにしても、オリンピックは残酷です。メダルをとればやたらと持ち上げられ。メダルを取れないともうオミソ扱いで。
いや、柔道なんか銀メダルでも負け扱いだから。可哀想すぎる。
そのうえ、そのチャンスは4年に一度しかないって、アマチュア選手にとっては厳しくないですか。
というか、もう本当のアマチュアとしてオリンピックを目指している人ってほとんどいないのかもしれないけど。

東京オリンピック総集編「敗れ去りし者たち」

そんな残酷な場面を集めた↑こんな動画もあるけれど、セーリング競技なんて「惜しくも敗れた」ドラマとしてすらとりあげて貰えないわけで。

うーむ、なんでか。

メダルレースは面白いか

東京五輪報道のまとめは、NHKのページが見やすいですかね。

https://sports.nhk.or.jp/olympic/schedules/sports/sailing/

オリンピックでのセーリング競技は、種目毎に全艇同時にスタートして着順を競います。
1位1点、2位2点、3位が3点。
これを10レースか12レース行って、(最も悪い得点を除いた)合計点の低い上位10艇が最終のメダルレースに進みます。

メダルレースとは?

たとえば、
レーザーラジアル級だと、エントリーは全部で44艇もおり、これが同時にスタートするので、全艇を目で追うのは大変。なにしろ広い海の上でおこなわれる競技なので。

それも、マラソンや自転車のロードレースと違って、艇団は左右に大きく広がります。

こちらレーザーラジアル級第1レースのスタート直後画面左から右に向かって進んでいます
SAP Sailing
Help sailors analyze performance and optimize strategy • Bring fans closer to the action • Provide the media with information and insights to deliver a ...

スタート後は風上にある回航マークを目指すわけですが、直接風に向かって走ることはできないわけで。
ジグザグに、つづら折りの山道を登るようなかんじ。
そこから “のぼり” とも言います。

ヨットレースとは その1:ソーセージコース

まあこれが面白いところなのではありますが。
風向が変化しただけで順位も変化し、
44艇でこれだけ広い海面に散らばると、なにがどうなっているのか。
もうさっぱり分からなくなるわけで。

で、最後は目が届きやすい10艇だけでレースをするわけです。
これがメダルレース。

ただ、ここまでの点数をそのままひきずってのメダルレースなので、すでにメダルの行方は決まってしまっているケースも多々あるわけです。
メダルレースは得点が倍になりますが、10艇しか出ていないので最下位の10位になっても20点。トップの2点と18点しか縮まらないわけ。

逆に接戦でメダルレースに進むケースだとメダル争いは1対1の戦いとなり、10艇のフリートの後ろの方で金メダルを競う、なんてケースもあるわけ。
で、メダルレースだけテレビ中継……じゃ話にお話にならないってこと。

オリンピックにおけるセーリング競技

大会公式サイト

東京2020 セーリング - オリンピック種目別結果
東京2020 オリンピック セーリング公式結果。試合結果、メダル獲得の瞬間を収めた画像、動画をチェック。

では、

大海原のレースを制するカギは、自然との共闘。クルーがひとつになったとき、船に命が宿る

https://olympics.com/tokyo-2020/ja/sports/sailing/

と、ヨットレースを説明していますが、意味不明。
「自然との共闘」は、セーラーと自然が共に戦うってことか? 共に、何と戦うの? セーラーが自然と闘うんじゃなくて? 自然と共に、ライバル艇と戦うということか。
「クルーが一つになったとき」って、乗員と船がひとつになったときということか? スキッパーとクルーがひとつになると船に命が宿る……んじゃなくて? いやいや、その前の文章からすると、自然とクルーが共闘したときに、船に命が宿る、と言いたいのか?

日本語になってないよなぁ。

こちらは神奈川県のサイト

・【『セーリングちゃんねる』はこちら!】東京2020オリンピック・セーリング競技特集サイト

【『セーリングちゃんねる』はこちら!】東京2020オリンピック・セーリング競技特集サイト
セーリングちゃんねるなど、神奈川県江の島で開催される東京2020オリンピックセーリング競技の情報を集約したページです。

報じる方も、苦労しているようです。

ヨットとボートの雑誌『Kazi』のオンライン版の記事が、冷静で緻密でそのうえ存在感もあって、さらに読みやすいなぁ、と思いました。

東京五輪 舵オンライン │ 船遊びの情報サイト
Kazi Online

五輪におけるセーリング競技の未来は

「東京2020」でのセーリング競技は、

フィン級  重量級男子の1人乗り
470級 男子 2人乗り、日本人の体格に合っている艇種
470級 女子 2人乗り、日本人の体格に合っている艇種
レーザー級  男子1人乗り。小型軽量でカートップもできる普及艇
レーザーラジアル級  上記のセールを小さくした女子1人乗り
49er級  軽量高速、男子2人乗り艇 
49erFX級  上記でセールを小さくした女子2人乗り艇 
フォイリングナクラ級  水中翼で宙に浮く双胴に男女2人乗り
RSX級  ウインドサーフィン男子
RSX級  ウインドサーフィン女子

の10種目。

これが、3年後のパリ五輪では、
フィン級 男子
470級 男子
470級 女子
の3種目が無くなり、

470級 男女2人乗り
カイトボード 男子
カイトボード 女子

の3種目に入れ替わります。
って話は前に書いたけど。

RSX級つまりウインドサーフィンに加えてカイトボードが入ると、全10種目中4種目、つまり半分近くがビーチスポーツになるということ。
これ、ワタシら外洋系の人間からすると、まったく畑違いの種目なんですよね。今でさえオリンピックは専門外なんだけど。

日本のカイトボードは、
日本カイトボード協会(JKBA:Japan Kiteboarding Association)
 と、
日本カイトボード連盟(KBFJ:Kiteboard Federation Japan)
の2つがあるもよう。
で、
KBFJの方がJSAFに加盟しており、オリンピック種目を扱う組織のようです。

ウインドサーフィンの方は、
日本ウインドサーフィン協会(JWA:JAPAN WINDSURFING ASSOCIATION)
が、日本セーリング連盟の加盟団体になっていて、ところがこの団体、プロのツアーもやっているもよう。

JWA 一般社団法人日本ウインドサーフィン協会のウェブサイト » PROスケジュール・リザルト

同じウインドサーフィンでも、プロツアーはまったく違う競技といってもよろしいかと。
「東京2020」でのスケートボードや、冬季五輪のモーグルやスノーボードの隆盛なんかみていると、セーリング競技もこちらの飛んだり跳ねたり系に代わっていくのかなぁ、なんて気もしちゃいますね。

日本セーリング連盟にとっての東京五輪とは

他の五輪種目に比べて、セーリング競技は日本のヨット界としてやらなければならないことがいっぱいあるのです。

そこで、日本セーリング連盟(JSAF)としては、4年前からオリンピックに近い「セーリング・ワールドカップ」をやって「東京2020」開催のための準備をしてきたわけですが……。

何が他の競技と違うのか?
まず、スタジアムで行う競技では無いので、スタジアムに変わる部分──海の上にコースを設定するだけでもたいへんです。

サッカーなら、フィールドに白い線を引くのなんてあたりまえに誰かがやってくれるわけだけど。
ヨットレースの場合、レース運営というと競技艇が回航するマークを打つところから始まります。誰かが運営艇を操縦して、海面の “どこ” に停めるのか。アンカーを打って錨泊するので、正確な位置にボートを停めるのだけでもたいへんなんです。

東京2020オリンピックセーリング競技のレースエリアについて

エラー404 お探しのページは存在しません。 - 神奈川県ホームページ
エラー404 お探しのページは存在しません。

錨泊ってことは錨が海底に食いついている部分から風下に船は停まるわけで。水深によってこの長さが違ってくる。
んで、正確に船を止めるだけでもなかなか難しいのです。
ヨットが回航するブイを打つのも同様で。

これが、相模湾の海面は水深が非常に深く。沖側のマークになると、水深が80mから100m。それを越えると一気に300mくらいまで断崖絶壁のように深くなっているのでもう無理。
水深100mのところに、100m間隔でマークを打てって、言われたら。
……てなことをせねばならず。

これ、サッカーでいうなら、ピッチの線引き……いや、芝生の手入れから連盟でやらなきゃならないって話なわけですよ。

さらには、プレスのカメラマンもいちいちモーターボートに乗って海面に出るわけ。世界中からプレスが集まっており、それぞれ小さなRIVと呼ばれるいわゆるゴムボートで。二十数艇いたようですが、そのドライバーも日本のヨット界の人間でやってます。
ヨットレースのことが分かっていないとどこまで近づいて良いか判断しづらく、また、こちらはアンカー無しでただ浮いているだけなので同じ場所に留まっているのが思いの他難しいのです。風や潮で流されてしまうから。
そこで、主に普段は外洋艇に乗っている人達がプレスボートのドライバーを務めました。

他の競技では考えられないですよね。

唯一、自転車のロードレースなんかそうか。
あれはマラソンと違い、下りは80km/hくらい出るようで、その自転車の前をカメラマンを乗せて走りコーナーを回っていくオートバイのドライバーは相当な技術と経験が必要なのです。駅伝の先導する白バイとは違うんです。あれ、たぶん道交法違反……スレスレかと。
で、中継を見るとバイクのナンバープレートは海外のものでしたから、バイク毎海外から来ているもよう。
それをセーリング競技では、日本のボートに日本人のドライバーでこなしたということです。

と、このあたり。つまり、レース運営からプレス対応の実技経験を積むことができたというのが、日本のセーリング界にとっての大きなプラスだったと言えそうです。


そうそう、NHKでは、左に競技映像で右半分が手話と字幕ってネット配信画像もあったけど、字幕があれば手話はいらないんじゃないのかなぁ。見たいのはプレーだから。耳の不自由な人には、字幕があれば良いんじゃないの?スコアも、プレー画面の左上にでてるんだし。

https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/13fcebb4-ff39-4a75-9566-641e8d53d0dc/

日本のメディア全体を含めた狂騒曲って、感じだったかなぁ。「東京2020」

タイトルとURLをコピーしました