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【VG2020】その名もアゾレス高気圧

いよいよスタートが迫る「ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)」世界一周レース。日本艇〈DMG MORI GLOBAL ONE〉の白石康次郎も出ていますからね。もうね、目が離せませんぞ。

11月8日、フランスはバンデ県、レ・サーブル=ドロンヌをスタートする33艇は、一路大西洋を南下するわけですが、さて気になるその日のお天気は……。と、その前に、恒常的に吹く風というものがあります。たとえば貿易風。帆船時代の貿易はこの風無くしては始まらず……。

基本は恒常風

赤道付近は常に強い太陽のエネルギーを受け気温が高く、暖まった空気は上昇します。で、地上の気圧は低くなる。
上昇した空気は南北に分かれ、北緯/南緯:30度付近の中緯度で再び地表に降りてきます。地上に空気がいっぱい集まるので、気圧は高くなります。これが亜熱帯高気圧、あるいは中緯度高気圧。

地表に降りるときに空気は乾燥し亜熱帯高気圧は雲のない晴天域となります。たとえば日本の南海上にある太平洋高気圧(小笠原高気圧)がこれ。
北大西洋では中心がアゾレス諸島のあたりにあることからアゾレス高気圧と呼ばれますが、これも亜熱帯高気圧。

1年中存在する恒常的な高気圧ですが、場所は季節によって弱冠上下し、冬のアゾレス高気圧はちょっと下がって北緯30度付近にできるもよう。
風は気圧の高いところから低いところへ向かって吹きますが、地球の自転の影響を受けて、北半球では高気圧から時計回りに吹き出し、低気圧には半時計回りに吹き込みます。
亜熱帯高気圧から赤道付近の低圧部に吹き込む恒常的な風が貿易風です。北半球では地球の自転の影響を受けて、北東貿易風となるわけ。

よく赤道無風帯と言われますが、晴れで無風という感じではありません。赤道付近では熱せられた空気が上昇し、冷えると雲となり、スコール雲がそこら中にあっていきなり雨が降ってきたり、急に吹いたりピタッと止んだり雷が落ちたりと、無風帯というより不安定帯って感じ。東西に連なった気圧の低い帯で、熱帯収束帯とも呼ばれます。
“晴れてて無風” は太平洋高気圧とかアゾレス高気圧などの亜熱帯高気圧の中心部分の方で。この中緯度帯は地上だと砂漠になっているところが多いです。
となると、アゾレス高気圧の中心付近も海の上の砂漠といってもいいのかも。帆船時代はこれに掴まってにっちもさっちもいかず遭難なんて悲惨なこともあったみたいですよ。

ただ、アゾレス高気圧はその中心を避けて、周囲の吹き出しを利用して走ることができます。
対して、熱帯収束帯は横に長く続いているので、南半球へ行くには避けて通るわけにはいかず、苦労する。ってことです。

移動性の低気圧

こうした恒常的な風はうまく利用するとして。実際はここに移動性の低気圧もやってきて、話は複雑に。
下右の図は、windyによる 11/9 00:00(UTC)、つまりスタート後最初の夜の予想気圧配置と風向/風速です。オレンジの矢印(風向)はこちらで書き込んでます。

アゾレス高気圧、ありますね。
でもその北に低気圧があって、どうやらスタート後ビスケー湾を出てからは上りが続きそうです。

このサイトは、ヨットレース好きな方のみならず、それ以外の、たとえば親知らずの抜歯に興味があってたどり着いた方もいらっしゃるかもしれないので、ここで説明しておくと。
ヨットは風に向かって進むことができます。
なんでか? は、おいおい説明しますが。
風に向かって走るといっても、だいたい45度くらいが限度です。風上の目的地へ向かっては、ジグザグにつづら折りの山道を登るように走ります。これがアップウインド。上り(のぼり)とも。
で、横や斜め後ろから風が吹いているとき(これをダウンウインドという)とアップウインドでは、艇上の雰囲気はまったく異なります。やっぱり風に逆らって走るアップウインドはキツイ。
で、この予想図からは、ビスケー湾を出てからは低気圧に吹き込む南よりの風の中を、アップウインドで走ることになりそうだ、ということ。キツイよね、ってことです。

ただ、この低気圧は1003hPsですから、それほどでもないと思うのですが、、、

下はスタート3日後の朝。だいたい赤丸あたりまで進んでいると思うのですが、まだ上り。

アゾレス高気圧、無くなっちゃっているな。ずっと西の方にある横に細長いのがそうか。
ただこれ、1週間近く先なので、今からでは予想確度はあまり高くありません。
今言えるのは、ビスケー湾を出てからは上りが続きそう、ということで。今日はここまで。

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