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【VG2020】〈YES WE CAM!〉Jean Le Cam

ヴァンデグローブ(VendéeGlobe 2020-2021)参加艇紹介。
今回参加最年長はこちらジャン・ルカム(Jean Le Cam)61歳のフランス人です。

「ヴァンデグローブ」には、第5回(2004-2005)から出場していますが、その前は、「第3回 Whitbread Round the World Yacht Race 1981-82」に、Éric Tabarlyがスキッパーを務めた〈Euromarché〉に乗ってで10位。1959年4月27日生まれですから……22歳のときですか。22歳でÉric Tabarlyの元で「ウイットブレット」って、すごい経験です。
Éric Tabarlyといえば、このサイトでは「ショートハンド外洋レース界にあっては、古今亭 志ん朝なみの重鎮」として紹介している Michel Desjoyeaux の……さらに上をいく超重鎮です。ってことは志ん生か。

で、その重鎮 Michel Desjoyeaux とも乗っていたというこちらジャン・ルカムは、初出場の「ヴァンデグローブ 2004-2005」でみごと2位。このときの優勝はVincent Riouの〈PRB〉。初出場の二人は大接戦を演じ、フィニッシュはわずか6時間20分差。87日間走っての6時間ですよ。

5度目の挑戦(含む九死に一生)

そして、続く第6回「ヴァンデグローブ 2008-2009」でも、ジャン・ルカムの〈VM Matériaux〉とVincent Riouの〈PRB〉共に2位を争う好位置で、航海の難所として帆船時代からその名を轟かすホーン岬へさしかかります。
そ、そのとき、ジャン・ルカムの〈VM Matériaux〉はキールバルブが外れて転覆。完全に裏返し──これをヨットでは完沈といいます。沈没するわけではありません。90度近くに傾いた状態が「沈」。180度逆さまになって安定してしまっている状態が「完沈」になります──の完沈状態で、ジャン・ルカムは船内に取り残されます。

そこに、遭難の報を聞いたVincent Riouの〈PRB〉が駆けつけ、無事救助。
といっても、接近する際にマストを壊し、ここでVincent Riouもレースはリタイアとなります。

Retour s/ Image: Le sauvetage de J. le Cam par V. Riou – Vendée Globe 2008-09

この辺りは、以前Kevin Escoffierの紹介記事の中で〈PRB〉チームの歴史としてちょっと触れました。

まさに “九死に一生を得る” 経験をしたジャン・ルカムですが、この後も「ヴァンデグローブ」には出続けます。

「ヴァンデグローブ 2012-2013」 〈SynerCiel〉で5位。
「ヴァンデグローブ 2016-2017」 〈Finistère Mer Vent〉で6位。
で、今回が5回目の出場となる、ヴァンデグローブの顔です。

■第6世代のアップウインド仕様

艇は、その遭難時「ヴァンデグローブ 2008-2009」にMichel Desjoyeauxが乗って優勝した〈Foncia〉です。2007年進水の、第6世代 カンティングキール+ダガーボード艇。
設計はBruce Farr design。建造はCDK Technologies。

3世代前の艇で、61歳の大ベテランがどう戦うか。
おっと、今(11/12)時点ではかなり前にいますよ。昨日は一時トップに立っていたくらい。
恐るべし61歳。
なんたって艇名が〈YES WE CAM!〉ですから。突き抜けたダジャレセンスに、脱帽!

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